ビジネスに革新をもたらすメタバースとは?Microsoftやディズニーも参入、従来の仮想空間サービスとの違い

お役立ち

最終更新日:2022/01/31

2021年10月にFacebook社が社名を「Meta」に変更すると発表したことで、メタバースは大きな注目を集めるテーマとなりました。Metaは今後年間100億ドル(約1兆1,000億円)の投資を予定しており、メタバース事業に注力していくことが予想されます。
また、米ウォルト・ディズニー社も第4・四半期決算発表の場でメタバース事業への参入計画を行っていることを公表しています。2021年12月現在、詳細は明らかにされていませんが、CEOのボブ・チャペック氏が「我々の現在までの取り組みは、我々が現実世界とデジタルワールドを結び付け、自社のディズニー・メタバースで、境界のないストーリーを提供可能になるまでのプロローグに過ぎません」とコメントしているように、メタバース事業の将来性に期待していることが分かります。


現在それほどまでメタバースが注目を集めているのには、どのような理由があるのでしょうか。この記事ではメタバースによって実現されることや、実際の企業の導入例について解説していきます。

 

 

 


メタバースの概要

 

メタバースとはインターネット上に構築された仮想空間のことであり、アバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入り、他の利用者とコミュニケーションをとることができます。

メタバース空間で実際に買い物をできるようにサービスを展開している例もあり、様々な活用方法が生み出されています。
元々メタバースとは、「超越した」「高次の」という意味の「メタ(meta)」と、「ユニバース(universe/宇宙)」を組み合わせて作られた造語です。 1992年にニール・スティーブンスンよって書かれた小説「スノウ・クラッシュ」内で一番初めに用いられており、作品内ではインターネットと仮想空間の未来が描かれています。 まさに今、空想のものとして描かれていたメタバースが現実のものとして広がりを見せており、今後もますますサービス展開されていくことが期待されています。

 

 

 


メタバースで可能になること

 

メタバースは既に様々なシーンで活用されています。具体的にメタバースで可能になる5つのことについて確認しましょう。


社員や部署又は企業間での「仮想空間の共有」

メタバースでは、社員や部署、企業間での「仮想空間の共有」ができます。たとえば、コロナ禍で急速に普及したリモート会議をメタバース上で行うことも可能です。参加者はメタバース上にホワイトボードやPCを持ち込めるため、リアルで会議をしているような没入感を体験できるでしょう。 会議以外にも取引先との商談をメタバース上で行うなど、仮想空間を共有することで新たな面談手段を作り出すことも可能です。


仮想空間における共同作業

仮想空間では、チームメンバーが一堂に会することによって共同作業が行えます。たとえば設計図を作成したり、商品デザインを開発したりといった作業が仮想空間上で可能になるのです。 これまでのテレワークではファイルを共有し合うことで進めていた作業も、仮想空間上では同時進行で作業が行えるため、より作業の効率化が図れるでしょう。


仮想空間でのイベント開催

また、メタバース上で交流会や研修などのイベントを開催することも可能です。仮想空間で開催することにより、会場の手配や参加者の居住地などを考慮する必要がなくなり、より多くの参加者を募ることができます。 全国に支社がある企業などは、普段は顔を合わせない社員とも気軽に交流できるメリットがあるといえるでしょう。


アバターを利用した交流

仮想空間ではアバターを通して他者と交流します。アバターのデザインは自分の好きなようにアレンジができるため、よりリアルの自分に近いアバターを作成することも可能です。 またアバターの表情や身振りについても自分自身と連動させられるため、仮想空間上でありながらリアルで交流しているような感覚が味わえるでしょう。


VR技術の活用によるコミュニケーション(共有体験)

メタバースはVR技術を活用することで、よりリアルな体験が可能となります。 仮想空間を他者と共有し、そこに存在しているかのような感覚が体験できることは、従来のオンラインでの交流と大きく異なる点といえます。 メタバースはVR技術を活用することで、スムーズなコミュニケーションをもたらす効果があるのです。

 

 

 


メタバースのメリット

 

様々なシーンで活用が可能なメタバースですが、メタバースの活用によってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、ユーザー側のメリット、導入する企業側のメリットについて解説していきます。

 


ユーザーとしてのメリット

まずはユーザーとしてのメリットとして挙げられる3点を確認していきましょう。


・コミュニケーションの活発化

ユーザーは仮想空間上で同じ空間を共有することによって、よりリアルに近い交流を図ることが可能となります。

メタバースでは3次元の空間を同時に共有することで、より没入感が生まれ、発言が活発になるなどの期待もできます。ただ在宅で仕事をするリモートワークに比べ、メタバースでは社員同士のコミュニケーションが活発になる効果もあるでしょう。

 

・時間・場所の制限からの解放

またユーザーは、メタバースの活用によって時間や場所の制限から解放されるメリットもあります。

メタバースはどこにいてもVRゴーグルとインターネット環境さえあれば、いつでも参加できる空間です。 たとえば仕事場がメタバース空間となれば、ユーザーはこれまで通勤にかかっていた時間が削減されるでしょう。コロナ禍でワーケーションや地方への移住が普及したように、会社の近くに住むという必要性も薄れるかもしれません。

 

・感染症を気にせずにコミュニケーションが取れる

メタバースは仮想空間上での交流であるため、感染症の心配も必要ありません。

2020年以降のコロナ禍では、人々の間に身体的な距離が生じました。マスクで表情が見えづらいことから、コミュニケーションが取りづらいと感じた人も多かったでしょう。

一方メタバースは感染症の心配をせずに他者との交流ができるため、リアルで会うよりもスムーズなコミュニケーションが図れるといったメリットがあります。

 

 

企業側のメリット

次にメタバースを導入する企業側のメリットについて見ていきましょう。


・バーチャル化によるコスト最適化

メタバースでは社員の就業空間が仮想空間へ移行することでコストの最適化を図れます。
たとえば、リアルの店舗やオフィスをすべてメタバース上へ移行することにより、家賃や光熱費などの維持費が削減できます。また、社員の通勤などにかかっていた交通費の削減もできるでしょう。

 

・新しい経済圏を作り出し、ビジネスチャンスが増える

またビジネスエリアが拡大されることも大きなメリットでしょう。仮想空間には世界中の誰もがアクセスできます。これまではリアルな店舗に足を運べる人のみが顧客ターゲットでしたが、メタバース上の店舗では世界中の人々が顧客になり得ます。
さらに、ビジネスエリアの拡大は店舗展開だけに限りません。これまで営業社員が足を運んで営業していた自社商品も、メタバース上で商談を行うことで地域に関係なく営業が可能となります。メタバース上に営業空間を生み出すことで、地域に限定されずより広い商圏を作り出すことが可能となるのです。

 

・仮想空間でイベント・展示会が開催できる

仮想空間ではイベントや展示会が開催できます。 コロナ禍ではイベント開催を断念した企業も多かったでしょう。しかし仮想空間では感染症の心配なく、イベントや展示会などを開催できるメリットがあります。 またリアルでのイベントは開催場所のアクセスの良さやキャパなどを考慮しなければいけませんが、仮想空間ではその必要もありません。遠方に住む人も気軽に参加できるため、より多くの参加者を募れるメリットもあるでしょう。

 

 

 


これまでの仮想空間との違いとは

メタバースの概念自体は新しいものではなく、これまでも仮想空間を活用したサービスや商品は多く生み出されてきました。では現在これほどまでにメタバースが注目されているのには、どのような理由があるのでしょうか。ここからは、メタバースと従来の仮想空間の違いについて解説していきます。

 

3次元空間での他者との交流

メタバースとこれまでの仮想空間との大きな違いは、3次元空間で他者との交流ができることです。

たとえばゲーム業界では、これまでもVR技術を活用した作品が多く作られてきました。しかしそれはあくまで主人公(自分)がVR空間でストーリーを進めていくだけのものであり、他者は存在しないものでした。

これに対しメタバースは仮想空間上で同じ時間に存在する他者と交流が図れます。

分かりやすい例でいうと、コロナ禍で人気を博した「あつまれ、どうぶつの森」が挙げられるでしょう。ユーザーはアバターを作成し、仮想空間上で他のユーザーとの交流やイベントへの参加ができるのです。これはまさにメタバースの活用例であり、他者が存在しなかった従来の仮想空間と大きく異なる点といえます。

 

3次元空間でアイテムを創造・売買できる

メタバース空間では3次元空間内で創造したアイテムを売買することが可能です。

既にデジタルアートや音楽、ゲームなど様々な商品の売買が行われており、現実世界と同じような経済活動が展開されています。 2021年12月には、米ナイキがバーチャル空間でのスニーカーやグッズを作成する企業RTFKTを買収したことが発表されました。このニュースからも、さらにメタバース上での経済活動は活発になることが期待できるといえるでしょう。

 

 

 


企業の導入例

3次元空間での他者との交流や経済活動など、様々なことが可能なメタバースですが、企業はどのように導入しているのでしょうか。ここからは実際の企業の活用例について見ていきましょう。


Microsoft

オンライン会議システム「Teams」を提供しているMicrosoftは、2022年から「Mesh for Microsoft Teams」サービスを開始することを発表しました。

Mesh for Microsoft Teamsとはユーザーがアバターを通して3次元空間で会議、交流ができるサービスです。メタバース空間上ではパワーポイントやエクセルなどのOffice機能も共有できるようになっており、よりリアルに近い形での交流が可能となっています。

Microsoftはこのシステムの導入により「チームの効率化と、個人の積極性の向上という 2つの目標の達成に役立つ」としており、コミュニケーションの活発化や創造性の向上につながると言及しています。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏も自身の運営するブログの中で「今後2,3年の内にオンライン会議のほとんどがメタバース会議に移行する」と記載しており、今後ますますメタバースシフトが加速していくことが予想されるでしょう。

 

ポート株式会社

2021年12月、ポート株式会社が「就活メタバース」のリリースを発表しました。

就活メタバースとは、メタバース空間を利用した就活相談サービスであり、3次元空間で面談やキャリアプランの相談などが可能となっています。 コロナ禍において、多くの企業がオンライン面接を導入しましたが、コミュニケーションが取りづらいことなどがデメリットと指摘されていました。

就活メタバースでは今後面接プラットフォームの提供も予定されており、3次元空間での面接が実現化されようとしています。 オンライン面接に比べてよりリアルに近い空間での面接が行われることで、人柄やパーソナリティが伝わりやすいなど、学生・企業両方にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。

 

 

 

 

メタバースが生みだす新しいバーチャル経済圏 

メタバースは3次元空間に新たに空間を生み出すことで、様々な活用方法が期待される技術です。既にメタバース上で会議や研修、ショッピング、イベントなどが行われており、多くのシーンで活用されていることが分かります。

メタバースは、3次元空間でアバターを通して他者と交流できることが大きな特徴です。VR技術を活用してよりリアルな体験ができるため、ユーザーにとってはスムーズなコミュニケーションが行える、共同作業が行えるなどのメリットがあるでしょう。仮想空間に没入して他者とリアルに交流する感覚は、従来のオンライン交流とは一線を画するものです。

またメタバースを導入する企業側にとっても、コストの削減が図れたり、より商圏を広げられたりといった多くのメリットがあります。
これらの利点から、多くの経済活動がメタバースへ移行していくことは明白であり、そこには大きなビジネスチャンスがあることは必至といえるでしょう。 是非、貴社もこの流れを新たなビジネスチャンスと捉え、メタバースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【無料】ITお悩み相談受付中!【無料】ITお悩み相談受付中!