データを長期間、安全に保存する場合に選ぶべきストレージとは?

ツール活用

最終更新日:2022/08/29

近年、クラウドストレージという言葉を耳にする機会が増えてきたという方も多いのではないでしょうか。

 

クラウドストレージとは、インターネット上の共有フォルダに写真やビジネスデータのバックアップなどを保存したり、そのデータをシェアできたりするサービスのことです。

 

個人のパソコン内や会社のサーバーにデータを格納することに比べ、インターネット環境さえあればどこにいてもデータにアクセスできるというメリットがあるため、活用する企業が急速に増えてきました。

またコロナ禍でリモートワークを採用する企業が増える中で、スムーズなファイルの共有が重要視されるようになってきたことも、クラウドストレージが普及してきた要因のひとつです。

 

クラウドストレージでファイルを共有すると、社内はもちろん社外とも簡単にもデータ共有が行えるようになりますが、メリットはそれだけではありません。

今回は、クラウドストレージの導入メリットや選択基準について解説します。

 

 

そもそもクラウドストレージとはなにか?

 

クラウドストレージとはどのようなものなのでしょうか。

 

従来、多くの企業では、サーバーの機器を購入して社内に設置し、社内の担当者がサーバー環境を構築して運用していました。

しかし、近年では社内ファイルサーバーではなくクラウドストレージをファイル共有に利用する企業が増えています。

では、従来のファイルサーバーとクラウドストレージにはどのような違いがあるのでしょうか。

 

まずはクラウドストレージの基礎について解説します。

 

 

まずはクラウドストレージについて知ろう

クラウドストレージとは簡単にいうと、「インターネット上にファイルの保管場所がある仕組み」です。

 

具体的には、クラウドストレージ提供会社が所有するサーバーを借りて、インターネットを通じてそのサーバーへデータを格納します。

格納されたデータは自社システムを通さずに操作でき、多くはWebブラウザやスマホアプリからの操作が可能です。

 

スタートアップ企業の中には、自社サーバーを構築するコストを抑えるために、起業開始時からクラウドストレージを利用するケースも増えてきました。

また現在は、BCP(事業継続計画)におけるリスク分散の観点からも注目されており、社内にファイルサーバーを設置してファイル共有を行っていた企業もクラウドストレージを活用しています。

 

さらに近年は新型コロナウイルスの影響もあり、社外などの遠隔地からのファイルアクセスのニーズが高まっているため、クラウドストレージを利用する企業が増加しているのです。

 

 

次にクラウドストレージとファイルサーバーの違いを理解しよう

クラウドストレージとファイルサーバーの違いは、サーバーが置かれている場所です。

 

ファイルサーバーとは、自社内に置かれるデータサーバーを指します。社内LANWANなどのネットワークに接続されたコンピューターにデータを格納し、社内のネットワークにアクセスできる人のみが操作できる仕組みです。

 

このように自社でサーバーを構築するスタイルを「オンプレミス型」と呼びます。

 

 それに対してクラウドストレージは、ファイルの格納場所がインターネット上にあります。

インターネット上にあるため、クラウドストレージはインターネットに接続できる環境であれば、どこからでもアクセスが可能です。

 

 

クラウドストレージを導入する10のメリット

クラウドストレージの導入を検討する上でメリットについて詳しく知りたいという方が多いのではないでしょうか。

ここでは、クラウドストレージを導入するメリットをご紹介します。

 

社内データを一元管理できる

これまで、部署や拠点が多い企業では、ファイルをそれぞれのサーバーで管理しているケースがよく見受けられました。

それらをクラウドストレージに集約することで、ファイルを重複して作成したり、他部署に問い合わせたりするような手間をかけずいつでも必要な情報を取り出せます。

 

このようにクラウドストレージ上で社内データを一元管理することで共有する際の工数を省くことができます。

特に拠点が複数ある企業では、情報共有を大幅に効率化できます。

 

 

いつでも・どこでもデータにアクセスできる

クラウドストレージのサービスはインターネット上にデータがあるため、インターネットに接続できる環境であれば、時間や場所にとらわれずにデータを操作できます。

 

なお、多くのクラウドストレージはWebブラウザで閲覧可能ですし、専用のスマホアプリを提供していることも多いので、デバイスを問わずにデータにアクセスすることが可能です。

 

 

社外の人とも簡単にデータ共有できる

データ共有は社内のメンバーだけとは限りません。

 

例えば取引先と資料を共有する場合も多々あります。

今まではそのような資料をメールで送るのが主流でした。

 

しかし資料の数や送信先が多いとやりとりが煩雑になりますし、データ容量が大きいと添付できない場合があります。

 

クラウドストレージであれば、ファイルやフォルダの共有URLを相手に伝えるだけで、簡単に社外の人ともデータ共有が可能です。

多くのクラウドサービスでは、ファイルやフォルダを共有する相手やアクセス権限を指定できるので、社外秘データまで見られてしまう心配もありません。

 

 

複数のデバイスからファイルの共同編集が可能

業務の中には、複数のメンバーでひとつのファイルを編集することもよくあります。

 

今までは各メンバーがローカル上にそのファイルを保存し、各メンバーの編集が完了したらそれらのデータを集めて統合しなければなりませんでした。

これにより、ファイルバージョンの同一性の課題などが発生していました。

 

クラウドストレージには共同編集機能を有しているものが多く、同時に複数人が同じファイルを開いて編集できます。

また、自動または任意のタイミングで保存できるため、排他制御で編集内容が破棄される心配もありません。

 

共同編集をすることが多い業務では、作業効率が各段に向上するでしょう。

 

 

初期投資と運用コストを抑えられる

社内でファイルサーバーを運用する場合には、ファイルサーバーの運用のため設備の管理や人件費などが発生します。

 

一方、多くのクラウドストレージは、安価な初期投資で開始でき、無料で導入できるサービスも少なくありません。

 

また、継続的な運用コストにおいても、社内でファイルサーバーを維持・管理する人件費が不要な分、低コストに抑えられることが多いです。

 

 

データを過去の状態に戻すことができる

これまでは「大事なデータを削除してしまった」「データの入力を間違えてしまった」といった場合、ファイルサーバーだとデータの復元に苦労しました。

 

多くのクラウドストレージはデータが保存されるごとにバージョン管理を行っており、過去の状態に戻すことが容易にできます。

トラブルに対して素早い対応が可能になるため、有用性の高いメリットです。

 

 

常に最新バージョンが利用できる

社内でファイルサーバーを運用した場合、通常はソフトウェアのバージョンアップや設備のメンテナンスを自社で行う必要があります。

 

クラウドストレージであれば、サービスを提供している企業が運用や保守を行うため、常に最新バージョンを利用できます。

安心して使用できるうえに、バージョンアップやメンテナンスの手間を省けます。

 

 

ストレージ容量を気にする心配がない

社内でのファイルサーバーの運用の場合、運用開始後にデータ容量を増やすには、ストレージあるいはサーバー機を追加しなければなりません。

容量を増やすには大きなコストがかかるため、なかなか簡単には実施が難しいのが実情です。

一方クラウドストレージの多くは、利用できる上限を超えた際に追加料金を支払うことで簡単に容量を増やすことができます。

容量の拡張申請後、早ければ即日で拡張が完了するため、長期間業務が停止する心配もありません。

 

 

災害のリスク回避

BCP(事業継続計画)の観点の一つとして、データの分散や社外にデータを保管する動きが高まっています。

BCPで対策すべきとされているリスクのひとつが自然災害です。

ある拠点の社内ネットワークでデータを集中管理している場合、その拠点が災害に見舞われてしまうと、ほかの拠点からデータにアクセスできなくなります。

クラウドストレージを利用していれば、拠点の場所や状況に限らず、インターネットでデータにアクセスできることから重要なデータの亡失を防げるため、災害後の事業継続や復旧が容易に行えるようになります。

 

 

バックアップを取る必要がない

多くのクラウドストレージは、定期的なバックアップが自動で行われています。

社内でファイルサーバーを運用している場合、データの紛失や破損に備えて手動でバックアップを行う必要がありますが、クラウドストレージではそれらの手間が不要となり、その時間をほかの業務へ充てることができます。

また、バージョン履歴の管理機能が搭載されているクラウドストレージならば、ファイルを誤って更新した場合も元の状態に戻すこともできます。

バックアップの時間外であっても、重要なファイルを亡失する心配がありません。

 

 

 

 

クラウドストレージは何を基準に選ぶべき?

選定ポイントと代表的なサービス5

クラウドストレージは、用途に応じて最適なものを選定する必要があります。

では何を基準に選ぶのが望ましいでしょうか。

選定ポイントを参考に、代表的なクラウドストレージを比較してみましょう。

 

 

 

 

選定のための8つポイント

クラウドストレージを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。ここでは8つのポイントについて、それぞれ確認してみましょう。

 

・保存容量

保存できる容量では、最大容量が決まっている場合と、プランに応じて大きさが変わるものがあります。

移管するデータ量と、移管後に格納されるデータ量を合計しておきましょう。

 

・ファイル共有・共有作業可否

複数人で同時にファイルの編集などが行える機能ですが、クラウドストレージによっては「参照のみ」としている場合があります。

同時に複数人でデータの閲覧と編集、保存の3つを行えるか確認してください。

 

・検索

キーワード検索や日付での検索はもちろん、全文検索などができると、目的のファイルを探しやすくなります。

ファイルの種類で検索できれば、より良いでしょう。

 

・スマホ対応

スマホやタブレット端末からのアクセスが可能か、専用アプリなどが配信されているかを確認してください。

専用アプリがない場合はスマホのブラウザを通してアクセスするため、端末によって表示などが変わる可能性があります。

 

・ファイル復元(バージョン管理)

ファイルを誤って削除した場合、ファイルの復元が可能となる機能です。

ヒューマンエラーによるファイルの亡失を防げます。さらに以前のバージョンを自動的に保存する機能があれば、編集後に以前のバージョンへ復元することもできます。

前バージョンのファイルをいちいち残しておく必要がありません。

 

・セキュリティ

情報漏洩などは社会的損害となります。

データの暗号化のほか、ログイン時の2要素認証やユーザーへのアクセス制限機能、アクセスログ機能があると安心です。

 

・サポート体制

サポートの対応時間や問い合わせ方法、料金などを確認しましょう。

24時間いつでも対応できることが望ましいですが、内容によっては有料オプションとなるケースもあるため注意が必要です。

 

・コスト

導入コストとランニングコスト、つまり導入時にかかる料金と、1か月の使用料金を確認しましょう。

多くはユーザー数と容量の組み合わせで料金プランが決められています。

無料でスタートできても、ユーザー数や容量が一定以上になると有料になる場合も少なくありません。

 

 

 

 

代表的なクラウドストレージ比較

 ここでは、代表的なクラウドストレージを5つ紹介します。

 

 

box

セキュリティにこだわり細かいファイル共有権限設定が可能です。ストレージ容量に上限がないため、データ量が多い企業におすすめです。

 

 

Dropbox Business

50万以上のチームが利用しているDropboxの商用版です。

必要に応じて容量を追加できるプランとなっているため、スモールスタートしたい企業におすすめです。

 

 

・セキュアSAMBA

導入実績数4,000社以上の純国産の製品です。

ユーザー数や容量の制限などはありますがフリープランから利用できます。デスクトップアプリがあるので、PCからの利用が多い企業におすすめです。

 

 

DirectCloud-BOX

ユーザー数無制限のサービスで、データレス編集でテレワークを推進します。

セキュリティを強化しており、デバイス認証やログ監視、IPアドレス制限やワンタイムパスワードなどが利用可能です。

 

 

・使えるファイル箱

1TBの容量をユーザー数無制限で使用できます。

必要に応じて1TBずつ追加していけるので、低コストで利用を開始できます。

 

 

 

 

まとめ

代表的なクラウドストレージではさまざまなサービスが提供されています。

 

自社に合ったクラウドストレージを選定するときは、選定ポイントをチェックすることも大切ですが、導入後に継続して運用するためには以下の2点も重要です。

 

・事前にクラウドストレージを導入する目的を明確にすること

・使用する社員のITスキルにマッチしたサービスを選ぶこと

 

 

クラウドストレージは業務効率や生産性の向上に大きく貢献します。

この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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