2024年問題対策はできていますか?転換期を迎えているEDI(電子データ交換)とは

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最終更新日:2022/12/05

EDIとは、「Electronic Data Interchange」の略で日本語では電子データ交換と訳されています。企業間における契約書や、受発注をはじめとした商取引に関する文書を専用回線や通信回線を用いてやり取りする仕組みのことを指します。  

昨今では、企業間の商取引においてデジタル化が進んでおり、データ管理の手間や経費を削減できる「EDI」が多くの企業から注目を集めています。

本記事では、EDIの仕組みや種類、選定ポイントなどを解説します。EDIの導入に成功した企業事例も併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

EDIでできることは?

 

EDIでは以下のようなことができます。

① 企業間の取引情報のやりとりを自動化

② データを双方のコンピュータ間で変換して取引

 

今まで郵送やFAXなどで行っていた取引情報のやり取りを、コンピュータを使って自動で行うことはできます。また、交換したデータは自社のシステムに取り込めるように変換されるので、転記作業が減り、業務削減及びミスの削減が見込めます。

 

 

EDIの仕組み

EDIは専用回線やインターネットを使って企業間の商取引で必要となるデータのやりとりを行い、文字コードやレイアウトなどの企業間で異なるデータフォーマットを自動で変換し、統一する仕組みです。

また、企業によって同一商品で異なる商品コードを使っている場合も変換できます。

 

 

EDIの種類

EDIには従来使用されてきた「個別EDI」「標準EDI」「VAN(標準EDI)」の3種類と新しい形式の「Web EDI」「全銀EDIZEDI)」「クラウドEDI」の3種類があります。

 

・個別EDI

個別EDIとは、取引先ごとに通信方法や識別コードを設定できるEDIのことで、取引内容や細かなルールなどを設定できるのがメリットです。

 

・標準EDI

標準EDIとは、取引規約や運用ルールなどが統一されているEDIのことで、標準規格となっていることから複数企業との取引が簡単に行えます。

 

VAN(標準EDI

VAN(標準EDI)とは、特定の業界に特化しているEDIのことで、コードの標準化が含まれているため、同じ業界であればスムーズな取引ができます。

 

Web EDI

Web EDIとは、EDIWEBを通じて行うという意味です。Web-EDIはシステムをインターネット上に構築できることから、データ通信速度が従来のVAN型に比べて大幅に改善されました。

 

全銀EDIZEDI

全銀EDIZEDI)とは、総合振込・入出金明細照会・振込入金明細照会をXML形式で行い、振込データにさまざまな取引情報(支払通知番号、請求書番号など)をEDI情報として添付して授受することを可能とするシステムです。

 

クラウドEDI

クラウドEDIとは、クラウドシステム上にEDIシステムを構築して使用するEDIです。クラウドEDIはオンプレミス型のEDIに比べて導入コストが安く、システム導入・開発を短時間で行うことが可能です。

 

 

 

 

EDIが使えなくなる2024年問題とは

 

現在のEDIは、1980年代からNTTによって提供されている公衆回線およびISDN回線上で通信ができるようになっています。

ところがNTT東日本・西日本がISDN回線を2024年1月から順次サービスを終了することになりました(20251月までに)。これにより、ISDN回線はサービスを終了することになりました。

これにより、ISDN回線を使用しているEDIが使用できなくなることを「EDI 2024年問題」と称しています。

 

固定電話への影響

固定電話の主要な接続方法の1つであるISDN回線。これが使えなくなると、ISDN回線に接続された固定電話は通信ができなくなります。

ただISDN回線やアナログ回線を利用している固定電話は、NTTのネットワークの構造変更により自動的に(インターネット回線を利用する)IP電話として再構築されるので、現在利用している固定電話は工事・手続き不要でそのままIP電話として利用が可能です。

 

移行先はWeb-EDIかインターネットEDI

EDI 2024年問題には、EDIWeb-EDIあるいはインターネットEDIに切り替えることで対応できます。

これらは固定電話網ではなくインターネット回線を利用しているため、固定電話網IP化の影響を受けません。

 

 

 

EDIの選定ポイント

ここでは、EDIを選定する際に意識すべき5つのポイントについて解説します。

 

 

自社の業界に対応した手順か

EDIは業界ごとにデータ交換の手順が確立されています。そのため、自社の取引において必要な手順に対応しているツールを選定することが重要だと言えるでしょう。なお、代表的な手順にはJX手順(サーバ)・ebMSAS2・全銀TCP/IP・全銀BSC・流通JCA・流通JCA-HFTPHULFTSMTPなどがあります。

 

 

オンプレミスか、クラウド(ASP)か、アウトソースか

EDIを導入する際は、オンプレミス型かクラウド(ASP)型、またはアウトソースかの選択も重要です。

オンプレミス型は、カスタマイズ性が高く、社内ネットワークでのアクセスに制限できるため、セキュリティ対策を強化できるといったメリットがあります。しかし、システムやサーバーの運用管理を自社で行う必要があり、導入までの期間が長いといったデメリットもあるので注意が必要です。

クラウド型は、自社でのシステム構築や管理が不要なうえ、短期間で導入できる点が魅力です。一方でオンプレミス型と比べるとカスタマイズ性が低く、インターネット回線を使ってアクセスすることから、セキュリティ対策が必要といったデメリットもあります。

また、アウトソースを活用するのもよいでしょう。専門スタッフに業務を委託することで、コア業務にリソースを割くことが可能です。

 

 

Web-EDI

2024年にはNTTによって提供されているISDN回線が提供終了となります。そのため、今後EDIを導入しようと考えている方は、導入や試験運用のハードルが低く、高速でデータ通信を行えるWeb-EDIがおすすめです。ただし、通信プロトコルの種類は必ず確認し、取引先と互換性のあるEDIを選定するようにしてください。

 

 

データ処理が高品質かつ実績があるか

EDIはサービスを提供している会社によって、データ処理能力や転送速度などの品質が異なります。そのため、無料トライアルで実際にツールを使用したり、同じ業界の導入実績を参考にしたりするのがおすすめです。また、口コミがある場合はそちらも併せて確認しておくとよいでしょう。

 

 

サポート体制がしっかりしているか

EDIを管理していく際には、専門知識や特殊なプロセスが必要となります。それゆえ、サポート体制が充実している会社を選ぶことが非常に重要。特に技術者が自社にいない場合は、24時間体制でサポートしてもらえるツールを選ぶとよいでしょう。

 

 

 

 

代表的なEDIツール比較

 

EDIの代表的なツールにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、特に知っておきたい5つのツールについて解説します。

 

スマクラ

EDIの種類】

・従来型EDI

・インターネットEDI

WEB-EDI

 

【通信プロトコル】

<従来型EDI>

JCA

・全銀

・全銀BSC

・全銀TCP/IP

FTP

HULFT

 

<インターネットEDI>

JX手順

ebXML MS2.0/3.0

EDIINT-AS2  

・全銀TCP/IP 広域IP

SFTP

・ファイル転送Web

 

【料金】

・初期費用:500万円~

・月額費用:20万円~

※価格の詳細につきましてはお問い合わせ下さい。

 

【特徴】

SCSK株式会社が提供するスマクラは、年間数十兆円を超える商取引情報を支えるシステム連携基盤サービスです。

インターネット系EDIや従来型EDIWEB-EDIなど幅広いEDIニーズに柔軟に対応が可能で、専門の技術や運用管理者が36年以上積み重ねた高い実績を元にした、専門性の高いサービスが特徴です。

 

 

 

JFT/Server

EDIの種類】

・従来型EDI

・インターネットEDI

WEB-EDI

 

【通信プロトコル】

・全銀手順

・全銀TCP/IP手順

FTP手順

FTPS手順

WebEDI機能

EDIINT AS2手順

HULFT連携

・全銀SSL/TLS手順

JCA手順

 

【料金】

・価格:70万円〜(初年度保守料金を含む)

※価格の詳細につきましてはお問い合わせ下さい。

 

【特徴】

株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供するJFT/Serverは広範なデータ交換を安全かつ確実に実現するEDIミドルウェアパッケージです。

同時160接続、10,000接続先の実績があり耐障害性にも優れているほか、アプリケーション連携、スケジュール起動などの運用管理に必要な機能も備えており、個別カスタマイズや次世代EDIへの拡張も可能です。

 

 

ALL in One EDI Saas

EDIの種類】

・従来型EDI

・インターネットEDI

WEB-EDI

 

【通信プロトコル】

・全銀

・全銀TCP

JCA

FTP/FTPS

SFTP

HULFT

EDIINT AS2手順

ebXML

JX手順

・独自手順

・メール

 

【料金】

・初期費用・月額費用:要問合せ

 

【特徴】

ALL in One EDI Saasは、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社が提供している幅広いEDIに対応したASPツールです。

サーバーの用意やシステム管理の必要がなく、短期間での導入が可能な点や、ロボットが自動操作を行うことで人的ミスの削減が可能になる点などが強みとして、現在注目されています。

 

 

BL.TRUST -ビーエル・トラスト-

EDIの種類】

・従来型EDI

・インターネットEDI

WEB-EDI

 

【通信プロトコル】

SFTP

BACREX

HULFT

JXZEDI

・全銀TCP/IP 広域版

・流通BMSJXed XMLAS2

JCA

・全銀BASIC

 

【料金】

・初期費用・月額費用:要問合せ

 

【特徴】

BL.TRUST -ビーエル・トラストは、株式会社東計電算が提供しているEDIサービスで、EDIシステムや異なるシステム間で、伝送手段やファイル形式を問わないデータの連携が可能となります。さらに、サポート体制は24時間365日なので、運用面でも安心だといえるでしょう。

 

 

 

 B to Bプラットフォーム 受発注

EDIの種類】

WEB-EDI

 

【通信プロトコル】

要問い合わせ

 

【料金】

・初期費用・月額費用:要問合せ

 

【特徴】

株式会社インフォマートが提供する「B to Bプラットフォーム 受発注」は、Web上で受発注ができるシステムで、利用企業数は4万社を超えます。
取引で発生した請求データを一元管理でき、発注業務の負荷軽減や店舗経営の判断材料として役立ちます。

なお、24時間365日の監視を行っているため、セキュリティ面も安心です。導入期間も12.5ヵ月と短く、新たな設備投資も必要ありません。

 

 

 

 

EDIツール活用事例

 

最後に、EDIツール導入に成功した企業事例をご紹介します。

 

通信企業のEDI導入に成功した事例

K産業株式会社は、EDI2024年問題に対応した次期EDI基盤を検討していました。そこで、EDIだけではなく、データ連携にも使用できる「ACMS Apex」を導入。

結果としてグループ全体のデータ連携基盤が実現でき、データ移行処理の開発コストは3分の1以下まで抑えられました。

さらに、変換処理の属人化の解消にもつながり、仕様書品質も向上したとされています。

 

一般企業のEDI導入に成功した事例

ガラスメーカーのA社は、長年使用してきたファームバンキングサービスが突然終了となったことから、新たなEDIツールを検討していました。そこで、サービスの継続が期待でき、実績も豊富な「スマクラ」を導入。その結果、導入コストの抑制につながり、高い運用効率と安定性を確保できるようになりました。

 

外食産業企業のEDI導入に成功した事例

給食や社食などのフードサービス事業を手がけるH社は事業規模の拡大にともない、納品書を受け取るまで仕入れ金額が不確定だったという課題を解決するためにB to Bプラットフォーム 受発注を導入。

その結果、仕入れ金額の把握だけでなく原価管理により年間の原価を10%改善することに成功しました。

 

 

 

 

まとめ

 

本記事ではEDIの概要に加えて、選定ポイントや活用事例について解説しました。

EDIシステムを導入することで、ペーパーレス化や業務効率化の実現につなげることが可能です。

しかし、一部の中小企業においてはFAXやメールなどの手法が効率的な場合もあるでしょう。FAX受注のためにコロナ禍でもテレワーク化できないという問題も浮き彫りになりつつあります。

そのため、従来までの手法にこだわらず、EDIツールの導入も含めて長期的な視点で考えていくことが重要だと言えるでしょう。

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