テレワーク環境での社員教育の課題と対策、成功のポイント

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最終更新日:2023/02/15

2020年からの新型コロナウイルス感染の影響により、テレワークを推奨する企業が以前と比べて増加傾向にあります。

実際、東京都による2021年(令和3年)4月のテレワーク実施率調査結果では

「都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.6%」であり、かつ

『日本の人事部 人事白書2021』(2021年3月アンケート実施、全国正会員3,091社回答)によると、

「新型コロナ終息後もテレワーク制度を継続し利用を推奨する」と回答した企業は56.5%という結果が報告されています。

ですが、やはり従来のような対面でのコミュニケーションが取りづらいテレワークでは、経営陣やマネジメント・人事関係者にとっては「社員教育」という面でデメリットを感じることも。

たとえば、株式会社ラーニングエージェンシーによるアンケート(2020年5月実施)によると、84.0%が「新型コロナウイルスの感染拡大が『人材育成に影響している』」と回答しています。

そこでこの記事では、今後も延長される可能性が高いテレワークを上手に取り入れるために、テレワーク下での社員教育のポイントについてご紹介します。

 

 

 

 

テレワーク下での社員教育の課題

 

まずは、テレワーク下での社員教育、特に新入社員への教育が、どのような課題を抱えやすいのか、見ていきましょう。

 

 

課題1.習熟度に差が出やすい

 

テレワークの状況では、当然ながらパソコンやスマートフォンでのデジタルツールを駆使したやり取りが多くなります。

そのため、実際の業務・仕事内容を理解する以前に、デジタルツールを使いこなす能力が求められ、その技術の高低差が業務に関する習熟度に少なからず影響を与えるのです。

 

また、オンラインでの教育のみでは、一方的に社員に伝えたい情報を与えるだけで終わりやすく、各人の理解度・納得度に合わせた細やかなケアをその場で行うことができません。

そのため、教育を受ける側がなにか途中で疑問や不安を抱えたままでも見逃しやすく、その蓄積が後々にまで悪影響を及ぼす懸念があります。

 

さらに、従来の「見て学ぶ」「雑談から業界動向や社風を知る」など、肌で感じて学ぶことが難しいことから、これまでの教育方法では各人によって習熟スピードにばらつきがでやすい、とも言えるのです。

 

 

課題2.問題の発見が遅れる

 

同じ空間を共有しない時間が長くなることで、業務に関する連絡事項以外でのコミュニケーション不足が顕著になります。

 

それに伴い、特に新入社員の場合、同期社員・先輩社員・上司などと人間関係を築きにくく、気軽な相談や簡単な確認作業でさえも行いづらくなってしまい、結果的に問題の発見が遅れてしまうことは否めません。

 

また、常日頃の仕事に向かう姿勢や表情が見えない分、「モチベーションの維持」といったメンタル面での不安要素も見逃しやすくなるため、オフラインでの教育と比べて習得に要する時間がかかったり、トラブルが表面化するまで放置しやすかったり、という傾向にあるのです。

 

 

 

 

テレワーク下での社員教育のポイント

 

では、テレワーク下での教育に関して、どのようなポイントに注意して行い、課題を解消すればよいのか見ていきましょう。

 

ポイント1.コミュニケーション時間を確保する

 

テレワークにおける課題のベースとなるのが、「コミュニケーション不足」です。

そのため、職場での声掛けや軽い雑談といったコミュニケーションを補うために、テレワーク中は意識的にオンラインでの「定期的なコミュニケーション時間」を確保するようにします。

業務に関するミーティングではないため、トピックスを事前に用意する必要はありません。

現状の困ったことや心配事、悩みなどを気軽に話せる場を設けることで、教育する側もまた、教育方法の改善点を見いだせたり、的確なアドバイスをしたり、メンタル面でのサポートをすることができるようになります。

 

 

ポイント2.明確な言葉を使う

 

画面越しでの教育の場合、対面と比べて表情や手振り身振りで伝える情報量は減少します。

そのため、教育する側は意識的に明確な言葉を使うようにし、曖昧な表現は避けるようにしましょう。

細やかなアフターフォローが難しい環境だからこそ、可能な限り違和感や誤解をなくすことで、両者にとってストレスがないようにすることが、長期的な視点でのテレワークを成功させるポイントとなります。

 

 

ポイント3.アウトプットする場を設ける

 

オンラインでの教育では、情報をインプットするだけで終わるケースが多く、時間が無駄になってしまうことが多々あります。

そのため、教育を受ける側自身が他社員に「発表」「共有」という形で(オンライン、オフライン問わず)アウトプットをし、さらに同僚や上司などからフィードバックを受けることで、テレワークであっても実践力と連帯感を持てるようになります。

 

 

ポイント4.目標・課題を明確にする

 

OJTとして教育内容を実際の業務に落とし込む際、ほぼ放置の状態で自己裁量にて進めさせていると、社員のモチベーション低下につながる要因になります。

そのため、明確な目標や課題をマイルストーンとして与え、適度な進捗報告とフィードバックを繰り返すことで、コミュニケーションと軌道修正を図るとともに、モチベーションを高めて維持するようにします。

 

ただし、進捗報告の義務と上司・先輩社員からの指示が細かすぎると、自律的な人材が育たなくなってしまうリスクがあります。

仕事ぶりが見えづらいテレワーク下だからこそ、「導き育てる」ための適度な指導と距離感を保つようにすることも重要です。

 

 

ポイント5.基本の環境整備を見直す

 

メンタル面でのサポートだけではなく、基本的な環境整備も欠かすことができません。

たとえばオンライン会議をスムーズに行うためのツールやオンライン学習ツールの導入から、通信補助費の支給までカバーすることが、環境整備には含まれます。

ひとりで処理する機会の多いテレワークだからこそ、環境整備がストレス軽減のキーとなることは少なくありません。

長期化すればするほどモチベーション維持の要となる仕事環境について、今一度見直すことで、社員教育の質までも上がると期待できるのです。

 

 

 

 

社員教育に効果的なITツール紹介

 

では、以上でご紹介したテレワーク下での社員教育のポイントを踏まえつつ、実践的・効果的に社員教育が行えるITツールについて見ていきましょう。

 

コミュニケーション活性化:グループウエアツール

グループウエアツールとは、

社員同士のコミュニケーションや業務情報・進捗状況の共有などを行うオンライン機能が集約されたシステムを指します。

グループウエアツールのひとつとしては、社員同士で一対一、またはチーム単位でのやり取りにおいて活用しやすい「ビジネスチャットツール」が挙げられます。

テキスト、スタンプ、画像などを手軽に送れるため、コミュニケーション不足になりがちなテレワーク下ではメールよりも活用しやすいと言えます。

他の例では、オンライン上の「ホワイトボードツール」があります。相手の表情が見られるビデオチャット機能を使いながら、画面上のホワイトボードに参加者が書き込みを行うことができるため、動きのある参加型ミーティングを実施できます。

これにより、テレワークでは難しい「チームの一員」としての意識が育ちやすくなるため、教育を受ける側が業務に関する不安や疑問点をチームメンバーや上司に伝えやすくなり、孤立感を払拭しやすくなるメリットがあります。

 

 

学習管理一元化:LMS

LMS(Learning Management System)とは、

各種研修・講座をオンライン上で行う「オンライン研修ツール(eラーニング)」を含む、学習管理システムを指します。

従来のeラーニング単体での使用では、研修・講座をオンラインで公開するにとどまっていました。

ですが、管理システムまで網羅するLMSを活用すれば、受講者各人の進捗状況や成績、閲覧履歴などの管理を一括で行え、さらに教育者と受講者とで双方向のコミュニケーションをシステム上で取ることが可能です。

また、受講漏れのチェックもできるため、該当社員の業務スケジュールに合わせて適切なタイミングで課題を与えることで、社員の学習意欲や仕事へのモチベーションを下げずに教育を施すことができます。

その上、受講者同士で進捗状況の確認や受講内容についてコミュニケーションを図ることもシステム上でできるため、テレワーク環境では希薄になりがちなチーム・組織の一体感を強める要因としても機能します。

なお、オンライン研修における教育する側の手間という点に注目した場合、たとえばビジネスマナー研修といった一般的な内容に関しては既存教材を活用することができるため、LMSを活用すれば効率的に社員教育を進めることができるのです。

LMSによっては人事データベースなどの外部システムと連携させることも可能です。そのため新しくLMSを導入する際は、現在使用中のシステムと連携できるかどうかまで踏まえて検討することをおすすめします。

 

 

 

 

オンライン社員教育の成功企業事例

 

約400名の社員全員が国内外においてテレワークを行っている株式会社ニット(以下「ニット」)。

日本最大級のオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」などを提供している、総務省「テレワーク先駆者百選」認定企業です。

ニットでは、テレワーク環境だからこそコミュニケーションを大切にし、毎日数分でもマネージャーとメンバーがコミュニケーションを取ったり、「1日1褒め」を実施したりしています。

また、チャットワークやkintoneといったITツールを活用し、社員のだれもが社内情報を共有できるような仕組みを整備。

さらにチーム制を取ることで進捗状況が複数人に共有され、ひとりの社員がタスクを抱え込むことなく、サポート・フォローが行き届くようにしています。

さらに、業務にかかわらず社員同士でコミュニケーションを図る場として、自由参加のオンラインコミュニティ制度を2020年よりスタート。

コミュニティメンバーとしての連帯感が、業務にも活かされるようになっており、仕事のスキルアップや孤独感の払拭といったメンタル面でのケアもカバーしています。

 

 

 

 

テレワークの課題を解消し組織力を高めましょう!

 

多くの企業にとってテレワークの継続が現実的となっている昨今、従来の社員教育の方法ではお互いに齟齬が生まれやすく、社員が思う様に育たない、定着しない、といった問題も出てきやすくなっています。

 

 

テレワークならでの課題を解消し、これまで以上に効果的な教育を施すためには、

オフライン環境以上に意識してきめ細かなフォローをしつつ、ITツールを駆使することで、社員一人ひとりのモチベーションと企業しての組織力を高めていきましょう。

 

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